内科

脂質異常症

コレステロールの薬って必要なの?

「コレステロールの薬は飲んではいけない!」
週刊誌にこのようなタイトルの特集を載せると、発行部数が伸びるそうです。
そのため、週刊誌は理屈にならない理屈をつけて薬を否定します。
LDLと呼ばれる悪玉コレステロールは、血管の内側にへばりつきます。
血管の壁にへばりつき、動脈硬化を助長します。また「プラーク」と呼ばれるコブを作り、血管を狭くします。そのプラークは破裂することがあり、破裂の修復のため、血液を固まらせる作用のある血小板がプラークにくっついて、血管を詰まらせてしまいます。心臓の血管で詰まりますと、心筋梗塞が起こり、脳の血管で詰まりますと、脳梗塞を引き起こします。ご存知のとおり、心筋梗塞・脳梗塞は命にかかわりますし、寝たきりになることもあります。
当然のことながら、LDLの血中濃度が高いほど、多くのLDLが血管にへばりつきます。
こう書きますと、LDLが高いことが、どれだけ怖いことかお分かりになると思います。
また、コレステロールを下げる薬を飲むことにより、このプラークが縮むこともあるのです。
中性脂肪も動脈硬化を引き起こします。ただしそれだけでなく、血液中の中性脂肪が多くて最も困ることが、LDLコレステロールの質を、より悪くすることだと言われています。LDLは悪玉ですが、その中でも特に質の悪い small dense LDL という超悪玉を増やすのです。文字どおり粒の小さい悪玉コレステロールですから、血管の壁にくっつきやすく、より動脈硬化を引き起こします。
心筋梗塞・脳梗塞を起こしてからでは遅いです。LDLが高いと言われたことのある人は必ず医師に相談しましょう。
血液中の中性脂肪の値は、食事の影響を受けます。LDLもある程度食事の影響を受けます。
そのため、食事をしている場合や安定してコレステロールの値を見たいときは、最近ではnon-HDLコレステロールの値を重視します。これは、総コレステロールから善玉であるHDLコレステロールの値を引いた、悪いコレステロールの集合体で、その値は食事の影響を受けにくいと言われています。

治療の基本は、食事療法・運動療法です。
食事療法では、全体の摂取カロリーを減らすことが必要ですが、飽和脂肪酸を制限することが最も大切です。
飽和脂肪酸とは、わかりやすい例では乳脂肪や固形の脂を指します。サラダオイルなど液体の脂は違います。固形の脂とは、牛肉・豚肉・鶏肉の脂やバター・マーガリンなどです。マグロなど魚の脂は違います。またチョコレートやクッキーなどお菓子の脂肪分も飽和脂肪酸が多いです。
運動療法は、有酸素運動を中心にそれ相応の運動量を長期間行わないと効果が出ないです。
運動療法のみで効果を実感するのは、残念ながらなかなか難しいと言えます。
食事・運動療法でコレステロール値が下がらなければ、薬の内服が必要になります。
薬を服用して心臓発作や脳卒中が減るという証拠がある薬が「スタチン」と呼ばれる薬です。コレステロール治療の第一選択となります。何らかの理由でスタチンが服用できない方、スタチンだけではコレステロール低下が十分でない方には、小腸からコレステロールを吸収させる薬を単独もしくは併用で内服します。
また、スタチンだけで中性脂肪が下がらない方には、フィブラート系の薬を併用することもあります。

当クリニックでは、LDLコレステロールとnon-HDLコレステロールの両方を重視しています。コレステロール・中性脂肪が気になる方はご相談ください。

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