乳腺科

乳がん診療

「乳がんの診療」


乳癌と診断されれば、治療しなければいけません。


どのような治療を受けるかですが、まずは手術が必須です。


手術前に抗がん剤を使用することもあります。がんを小さくして、温存術の可能性を高めるためです。


乳がんは浸潤がんと非浸潤がんに区分されます。


○浸潤癌


この場合、手術だけでは治ったとは言えません。


抗がん剤・ホルモン治療などの、全身療法が必要になる場合が多いです。


○非浸潤癌


手術


手術もしくは手術プラス放射線治療を受けると、それで治療が終了する場合が多いです。


ホルモン感受性陽性乳がんで温存術を受けた方は、残存乳腺と反対側乳腺の乳がん予防のために、ホルモン剤を服用することもあります。


当クリニックでは、大阪医科大学附属病院・高槻病院・高槻赤十字病院・大阪大学医学部附属病院・関西医科大学附属病院・大阪国際がんセンター等と連携し、乳がんの専門診療も行なっております。


Q&A


Q.01 乳がんの症状には、どんなものがありますか?


・乳房にしこりを触れる。
・乳首から分泌物がある。
・わきの下が腫れてきた。わきの下にしこりを触れる。
・乳首や乳房の皮膚がひきつれる。乳首が陥没してきた。
・乳房の皮膚の色や厚みが変化してきた。
・乳首に湿疹ができて治らない。

などです。お心当たりのある方は、必ず受診してください。


Q.02 乳がんにかかりやすい人はどんな人ですか?


・血のつながった方に乳がんの方がおられる方。
・40歳以上で未婚の方。
・40歳以上の既婚で出産されていない方。高齢初産の方。
・初潮が早く、閉経が遅い方。
・肥満の方(特に閉経後)。
・乳腺症や線維腺腫などの乳房の病気にかかったことのある方。
・ホルモン補充療法を受けておられる方。

などです。このような方は、必ず定期的に乳がん検診を受けてください。


また、高脂肪・高たんぱくの欧米型の食事は、乳がんの発生を増やします。アルコールの多飲も乳がんを増やすと言われています。


Q.03 乳がん以外の乳房の病気にはどのようなものがありますか?


乳房が痛くなる病気としては、乳腺炎・乳腺症・モンドール病などがあります。


しこりを触れるものとしては、乳腺のう胞・線維腺腫・葉状(ようじょう)腫瘍・脂肪腫などがあります。


乳頭から分泌物が出るものとして、乳頭腫・乳管拡張症などがあります。


この中には、様子観察で良いものと、治療を必要とするものがあります。また、乳がんと紛らわしいものもあります。


まずは、受診して厳密な診断を受けることが大切です。


Q.04 乳がんの治療について教えてください


A.治療法は手術療法、薬物療法、放射線療法があります。それぞれを組み合わせて治療します。



Q.05 手術療法について教えてください


A.手術療法は大きく分けて、乳房を残す乳房温存療法と全て取ってしまう乳房切除術の二通りがあります。
乳房温存療法が選択できるかどうかは、がんの大きさや乳房の大きさ・がんの存在する位置によって判断されます。


大きながんがある場合は、乳房を温存することが難しいのですが、手術前に抗がん剤等の治療を受けて、がんを小さくして温存療法を受けることもあります。
温存療法を選択した場合は、局所再発の予防のために手術後残った乳房に放射線を当てることが一般的です。


手術前の診察や検査により、わき(腋窩)のリンパ節に転移が認められる場合は、同時にリンパ節を取る(郭清する)手術を一緒に行います。
わきのリンパ節の転移が不明の場合は、最初に転移すると考えられる「見張りリンパ節」を一個ないしは数個取り出し、それを手術中に検査して転移の有無を確認します。これをセンチネルリンパ節生検と呼びます。そこに転移がなければ、リンパ節を取る手術を省略します。


Q.06 薬物療法について教えてください


A.抗がん剤を使用する方法、ホルモン剤を使用する方法、分子標的治療剤を使用する方法があります。


どれを選択するかは、がん細胞の性質やがんの大きさ、転移の有無等を調べ、年齢等を考慮して決定します。それぞれの治療を組み合わせたり、単独で行ったりします。


薬物療法で、もっとも治療方針に役立つのがサブタイプ分類です。ERやPgRと呼ばれるホルモン感受性や、HER2やKi-67と呼ばれるがんの増殖活性の指標などにより分類されます。





治療は、上記表のサブタイプ分類の上部の方はホルモン療法を行うことが多く、下部の方は抗がん剤を使用することが多いです。


HER2が陽性の場合は、トラスツズマブと呼ばれる分子標的治療剤を使用します。


Q.07 乳がんと診断されましたが、手術を受けたくないので、放射線治療で治してほしいのですが…


A. 現在、乳がん治療で施行される放射線療法は、外から患部に放射線を当てる「外部照射」が行われています。通常、手術をしていない乳がんに対し、直接放射線の外部照射をすることはいたしません。外部照射は、手術後局所再発予防のための乳房・胸部に対する照射や、骨転移・脳転移等に対して行います。


手術を受けたくない場合は、CT・MRIやマンモグラフィなどの画像診断でがんの広がりや転移の有無を調べ、針生検やマンモトーム生検でがんの性質を調べたうえで、薬物療法を施行するのが一般的です。


最近乳癌に対し、小線源治療、陽子線・重粒子線を用いて治療を行う試みがなされています。ちなみに、小線源治療とは、粒状の小さな放射性物質をがんの中に入れ、内部から放射線をあてる方法です。この方法を、外部照射に対し「内部照射」と呼ばれることがあります。この小線源治療であれば、乳がんそのものを治療することも理論的には可能です。ただし現在のところ、乳がんに対する小線源治療は、極めて限られた施設で試験的に行われているにすぎません。

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