内科
高血圧
なぜ血圧を下げなければいけないのでしょうか?
血圧は、心拍出量(心臓が押し出す血液の量)と末梢血管抵抗(血管の血液の流れにくさ)で決まります。
血管の血液が流れにくいということは、血管の中の押し返す力が強いということです。それは血管の中の血液の量や血管の太さ、血液の粘度等によってその力が決まります。血液が流れにくいと、心臓はそれに対抗して血液を送り出さなければいけません。それを24時間365日ずっと繰り返しているわけですから、当然、いつかは心臓がへばってきます。心臓が弱ってきて、心不全の状態になるのです。
特に最近は「心不全パンデミック」などと呼ばれ、急激に心不全の患者さんが増えています。
皆さまも血圧を管理し、心臓を守り、心不全にならない、心不全になっても悪くさせない、ことが大切です。
「たかが高血圧ぐらい」と考えがちですが、放置すると心臓や血管、さらに他の臓器にも障害をきたし、心臓の肥大(左室肥大)・たんぱく尿・脳卒中・心不全・冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)・腎不全・大動脈瘤・動脈閉塞症
などが起こりやすくなります。
高血圧治療ガイドラインによりますと、
1)食塩摂取量の制限、
2)野菜や果物の摂取の促進、
3)飽和脂肪酸や総脂肪摂取量の制限、
4)体重減少(肥満の場合)、
5)運動・身体活動量の増加、
6)アルコール摂取量の制限、
7)禁煙(受動喫煙の防止も含む)
これが、高血圧の予防に良いとされているものです。
どれも大切ですが、この中で特に重要なのが、塩分制限と肥満防止と運動です。
ただし、残念ながらこれらの予防法がすべての人々に効果的とは限りません。
「家庭内血圧が大切」
健康診断等で高血圧の可能性を指摘された方は、血圧計を購入し、必ず家庭で測定するようにしましょう。その血圧が平均140/90以上超えている方は、必ず医療機関を受診してください。
「白衣高血圧症」
普段はそうでもないのに、病院などに行って血圧を測定すると「高い」と言われてしまう人のことです。
緊張やイライラなど、感情の変化により血圧が上昇する人です。家では低いから大丈夫!というわけではありません。血圧が高い時間が長くなると、心臓や脳の病気を引き起こす可能性が高くなるからです。
医師に相談する必要があります。
収縮期血圧(上の血圧)140以上もしくは拡張期血圧(下の血圧)90以上の方では、薬で血圧を下げる治療によって生じる病気の発生率が減り、死亡率が下がります。
ですから、「140/90以上」の方は治療を受けるべきです。厚労省の調査では約3400万人が該当するそうで、人口の4人に1人以上は治療を受けるべき、ということになります。ご家庭で血圧を測定して、140/90を超えることが多い方は、必ずご相談ください。