外科
骨粗しょう症
骨粗しょう症って心配しなくてはいけないの?
骨粗しょう症は、骨の中身がスカスカになり、もろくなって骨折しやすくなる病気です。
それまではなんともなくても、骨粗しょう症によりいったん骨が折れてしまいますと、寝たきりになることもあります。また、一度骨折を起こしますと、次々に骨折を起こすこともあります。
お年寄りで大腿骨頚部転子部の骨折を起こした方は、1年以内に10%以上の方がお亡くなりになる、という報告があります。これはがん全般よりも高い死亡率です。
つまり、骨粗しょう症による骨折は、がんにかかることと同じくらい怖いものです。
また、骨粗しょう症により背骨を骨折しますと、慢性的な腰痛をきたしたり、背中が曲がってしまったりして、普段の生活に大きく影響します。骨粗しょう症が原因で骨折することにより、健康寿命を著しく短くしてしまう可能性があるのです。
骨粗しょう症は、男女比が2:8と圧倒的に女性に多い病気です。特に閉経後に非常に増えます。それまでは卵巣から出る女性ホルモンが骨を守ってくれていたのに、閉経後はそのホルモンがなくなり、骨粗しょう症になる方が多いのです。ところが、最近では極端なダイエットにより若い方の骨粗しょう症も増えてきています。
月経の終わった方、ダイエットをしたことのある方、ご家族で骨粗しょう症や骨折の経験した方がおられる方は、一度全身タイプの骨粗しょう症の検査を受けてみてください。足のかかとや腕で受ける検査は正確なことはわかりません。
骨粗しょう症の予防は、バランスの良い食事と適度な運動につきます。カルシウムのサプリメントを服用することは、血液検査で血清カルシウム値が正常な方にはお勧めできません。尿路結石や動脈硬化の原因になる可能性が指摘されています。食事によるカルシウム摂取は全く問題ありません。
治療は、ビスフォスフォネート製剤を服用するか注射を受けることが、もっとも一般的です。ビスフォスフォネート製剤は顎骨壊死という怖い副作用がありますが、めったに起こるものではなく、正しい知識のもとで、内服すれば怖い薬ではありません。
他にはビタミンD製剤、SERMと呼ばれる女性ホルモンに似た構造体の薬も使用することがあります。強い骨粗しょう症の方には、テリパラチドと呼ばれる副甲状腺ホルモンの注射や、抗ランクル抗体・抗スクレロスチン抗体の注射剤も使用します。