~その3~で「マスクをする最も大切な意味は、『コロナウイルスを他人に移さない』ということです」と書きました。マスクをする最も大切な意味は、世の中にコロナウイルスを蔓延させないことです。
先日、地下鉄車内の私が座った向かいの席に、ある若いお父さんと2-3歳の息子さんが座りました。息子さんは小さなマスクを着けています。本人はマスクを嫌がっている様子はないのですが、なぜかすぐにずれてしまいます。その都度お父さんはマスクを直します。ところが、そのお父さん自身がマスクを着けていないのです。
若いお父さんにしてみれば、自分は元気だから移される危険性は少ないが、小さな子どもが移されては大変だ!という思いがあるのでしょうね。
「いや、違うでしょ!」と、私は声を掛けたかったのですが、変人扱いされるのは嫌ですし、マスクをしていない人との会話はもっと嫌でしたから、黙って立ち去りました。
ちなみに、厚生労働省や日本小児科学会は、2歳未満のマスク着用はメリットよりデメリットの方が多い、という見解です。2歳未満でなくても、幼児のマスク着用は十分注意する必要があります。
話を戻します。「症状が出ないコロナ感染者(不顕性感染者)は感染力が弱いかほとんど感染させない」などと医療関係者でも言う人が居ますが、明確な証拠はありません。ただし通常は「症状が最も強く表れる時期に他者へウイルスをうつす可能性も最も高くなる」と考えるのが一般的だそうです。アメリカCDCのホームページには、不顕性感染者が感染させる可能性は「may be」と書かれています。日本語では「かもしれない」ですが、科学用語としては、可能性は「50%あるかないか」という程度でしょう。しかし「症状の有る無し」の定義があいまいです。コロナ感染により倦怠感があったとしても、本人が「寝不足のせいだ」と思ったとしたら、症状がないことになってしまいます。
最新のいくつかの論文では、不顕性感染者に感染力があることを裏付けるデータを載せています。そのため、病院などの施設に入る時に検温するのは意味がない、という議論も出現してきています。発熱のない元気な人が感染させてしまうから意味がない、ということです。
ある程度認めざるを得ないのではないでしょうか?実際に、症状がないか自覚していない感染者が、他人に移す場合が多いからこそ、経路不明の感染者の割合が高いと考えるべきでしょうね。